永々棟の十二か月

永々棟の十二か月

師走
甦った魅惑のマダム

石橋郁子

京都人が親しみをこめ“天神さん”と呼ぶ北野天満宮は、天神さんこと菅原道真が愛した梅の名所で、界隈の町名も白梅町、紅梅町とゆかしい名で呼ばれています。「平野の家 わざ永々棟」はその天神さんと平野神社のちょうど中ほど。平野神社は「平野の夜桜」で有名な桜の名所で、文字通り両手に花、の一角に「永々棟」は佇んでいるのです。

もとこのお屋敷は山下竹斎という日本画家の住まい兼アトリエとして大正15年に建てられ、その後、道具商の高津商会の社長宅であったものを平成19年京都の、というよりは今や世界で活躍する数寄屋の名工・山本隆章棟梁が譲り受けて自らの技をはじめ、左官や屋根、板金、畳や建具など伝統の技を駆使して改修した建物。3年がかりの工事で昨年11月、新しい京の文化拠点「平野の家 わざ永々棟」として開館したのです。

最初の催しはクリスマスらしい趣向で「エラール・ピアノコンサート」。棟梁の長女で実質的な当館の館長・普照祐子さんの友人でピアニストの梅原尚子さんのピアノ演奏と興味深いトークでした。ショパンやリストの生きた時代精神、曲にこめられた物語や想いなどクラシック音楽にさほどの関心がない私でも引き込まれていきそうな楽しいお話と素晴らしい演奏を聴かせてくださいました。これは大ホールでは味わえない室内音楽会の醍醐味。演奏者の表情から指先、ペダルを踏む足の動きや息づかいなど、一挙手一投足を目の当たりにしながら、そして鍵盤を叩く指の動きが見てとれないほどの速さにも感動しながら、美しい音楽に包まれる幸せに浸ったひとときでした。

このエラールピアノは「わざ 永々棟」と同年代の大正末期から昭和初期のパリの貴婦人。エレガントなガラスの靴(脚の台)を履いていて、永々棟同様、丁寧に修復され、見事に甦った魅惑のマダムです。

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