永々棟の十二か月

永々棟の十二か月

弥生
もてなしぶり、客ぶりも愛らしさの競演

石橋郁子

永々棟もはや五年目に入りました。思えばさまざまな催しを開き、たくさんの方々が永々棟を訪れてくださり、人の気が建物全体に通って家に磨きがかったようです。

弥生の催しは例年通り「雛展と雛茶会」。今年は「雛さまと御所人形の勢ぞろい-愛らしさの競演」と銘打って、享保や寛永期の雛人形だけでなく、古い御所人形が展示され、雛さまと御所人形の愛らしさを競うという演出です。

永々棟茶道教室に通う少女たちは、二人の先生のご指導の甲斐あってこの一年で目を見張るほど成長し、お点前もお運びも半東ぶりも堂に入ったもの。幾席かを堂々と務めたことでした。

「みんなよくがんばったね。さあ、今日はこれが最後のお席よ」などと言っている時、「すみません、あと一席お願いします。可愛いお客さまがいらっしゃるの」と誰かの声。

席を整え、一同お待ちしていると、なんと二階から静々と降りてきたのは少女というにもあどけなさすぎるほどの可愛い童女四人。それぞれに愛らしくハレの着物やドレスを着ています。そのまま茶室に入るのかと思いきや、四人はちょこんと茶道口に正座してお扇子を膝前に置き、「お先です」「お先です」と次礼をし、作法通りに躙っての席入り。

「スゴイ!!」と、思わず私は感嘆の声を挙げてしまいました。しかしこれしきはほんの序の口。それぞれの童女は、床-釜-道具と作法通りに拝見した上、畳の歩き方も上座へは右、下座へは左で縁を越すなど見事なもの。京間の畳を四歩で歩くには小さ過ぎる童女たちは、倍の歩数で縁を越えていき、後の客が後ろを通れるように通い畳に仮坐をして連客の拝見が済むのを静かに待ちます。頃合いを見計らって正客の女の子からまた、「お先」といって整然と着座。今年も例年通りに雛の膳に小さなひちぎり二つと椀に盛った金平糖のお菓子でしたが、この童女たちはお点前の少女が茶杓をもって「お菓子をどうぞ」と声をかけるまで食べようともしませんし、お辞儀の仕方もお菓子の頂き方も完璧。お点前さんが水指の蓋を閉めるタイミングで「お道具拝見を」と正客の赤いおべべの女の子が言った時は、私はもう驚きで声も出ません。それでも気を取り直して「何年生?どこからいらしたの?」などと声をかけて、三人が小学二年生、一人が一年生で、芦屋からお母さんとお茶の先生といっしょに来たのだということを知ったのです。

後見役の私と写真係として入席していた写真家の田口さんがどんな顔をしていたか、ちょっと想像してみてほしいと思います。

この童女たちの見事さを受けて立った永々棟茶道教室の少女たちも、それぞれに力をつけ、半東さんの挨拶といい、美しいお点前といいおもてなしぶりも堂々としてほぼ完璧の出来映え。雛人形と御所人形よろしく、まさに「愛らしさの競演」を見た少女たちの雛茶会でした。

「イッコセンセ、私、自信なくしました」。

私といっしょにお茶のお稽古をしている写真家の田口葉子さんは後でこう呟き、「アカン…。これまでのお稽古ではアカン」と独りごちたのは私…。

この童女や少女たちが来年どんなに磨きをかけて現れるのか、楽しみがまた一つできました。

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